ボトックス注射
ボトックス注射
ボトックス注射は、筋肉の過度の緊張を緩めたり、汗腺の過度の分泌を抑えたりする目的で使用されます。美容医療領域でよく使われる用途としては、目尻や眉間の表情筋の緊張を抑えることによってシワができることを防止すること、咬筋の収縮を抑えることでエラが張った状態を改善したり歯ぎしりを抑えたりすること、腋窩多汗症(過度のわき汗)に対して汗の分泌を抑制することなどです。
ヒアルロン酸注入と混同される方がいますが、ヒアルロン酸は「フィラー」として皮下のボリュームを足すことによって組織を持ち上げて形態の改善を図る治療ですが、ボトックス注射にはそのようなボリュームを足す作用はありません。シワがなくなるのはその原因となっている表情筋の収縮を抑制するからです。
ボトックスは注射した部の神経末端から神経細胞内へ取り込まれて、神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌を抑制することで作用を発揮します。注射後数日程度で注射した部位の周辺1cm程度までの組織に定着し、3~4か月効果が持続します。
重度の腋窩多汗症、眼瞼痙攣、顔面痙攣に対して保険適応となっておりますが、美容目的の投与に対しては保険適応がありません。なお、当院では保険診療のボトックス治療を行っておりません。
当院では、厚生省認可のアラガン社製のボトックスビスタ®を使用しております。
ボトックスビスタは、日本における他の医薬品と同様に厚生労働省の品質基準に則り、輸送保管され各医療機関へ納品される薬剤です。品質保証のある製品として、しわを気にされ、アンチエイジング医療をお求めいただいている多くの方に「質の高い安心」を提供いたします。
厚生労働省が承認しているA型ボツリヌス毒素製剤は「ボトックス(R)注用100単位」、「ボトックス(R)注用50単位」、「ボトックスビスタ(R)注用50単位」のみです。
ワキや咬筋(エラ)に対してはメディトックス社(韓国)のニューロノックス®(韓国の厚労省に当たるKFDA認可、日本未認可)も取り扱っております。
以下の症状に当てはまる方は治療前に医師に必ずお伝えください。
治療には30Gの細い針を用いて行いますので注射の痛みは軽度ですが、薬液の注入時にしみるような痛みがあります。
痛みが苦手な方には麻酔クリームや局所麻酔をご用意してあります。お電話もしくはカウンセリング、または診察の際にお尋ねください。
※痛みについては個人差があります。
ボトックス注射の効果は治療後3~5日で現れ、部位にもよりますが3~4か月間持続し、それ以後、徐々に筋肉の動きが元に戻ります。
筋肉は、使用しなかった場合には筋線維が萎縮して細くなるので、ボトックスの効果が切れたからといってすぐに元通りに戻ることはありません。そのため、ボトックス注射を定期的に繰り返した場合には徐々に効果が戻りにくくなる場合があります。
再度注射する場合には、4か月以上の間隔を空けることをお勧めしています。あまり頻回に注射を繰り返すと薬剤に対する抗体が作られて効果が得られにくくなるという報告があります。
汗腺からの汗の分泌が抑制され、日常生活上の不快感が解消されます。個人差はありますが、ワキのボトックス注射の持続期間は約3か月です。汗の量が3分の1程度に減少し、「汗じみ」を気にする方にはとてもオススメです。
ワキにはエクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類の汗腺が存在しており、エクリン汗腺からはほぼ無臭のサラサラとした汗が、一方、アポクリン汗腺からは人により腋臭症(わきが)の原因となる粘稠な汗が分泌されます。ボトックスが抑制するのは主にエクリン汗腺から発汗であり、アポクリン汗腺からの発汗は抑えられません。したがって、「臭い」が主症状の方の場合は、ボトックス注射によって症状は軽減するものの全てなくなることはないと考えてください。
眼瞼(まぶた)の違和感、注射部位の浮腫、注射部不快感・掻痒感、頭痛、眉毛下垂、開眼・閉眼障害、咬筋力低下など