スペクトラレーザー(シミ・タトゥー)
スペクトラレーザー(シミ・タトゥー)
スペクトラレーザーはLUTRONIC社製の医療レーザー機器で、Qスイッチヤグレーザーとしての波長532nm(KTPレーザー)と波長1,064nm(Nd:YAGレーザー)の2種類のショートパルス(短波長)のほか、ロングパルスモードのレーザーも搭載しており、シミ、肝斑、母斑、タトゥーなどの色素病変の除去のほか、毛孔開大やニキビ肌の改善など幅広い用途の治療が可能なものです。
ここでは、スペクトラレーザーを用いたシミ治療とタトゥー除去についてご紹介します。
シミには複数の種類があり、それぞれ治療方法が異なります。まずはお悩みのシミの種類を特定し、それに応じて治療を選択する必要があります。
炎症後色素沈着の一種と考えられています。30~40歳以降に出現し、頬骨の高まりに一致してほぼ左右対称に、斑状というよりはベタッとした均一な背景色の「くすみ」として現れます。下眼瞼の軟らかい部にはできにくいのが特徴です。肝斑は通常のレーザー治療やフォトフェイシャルで悪化することがあるため、低出力ロングパルスで照射する「肝斑トーニング」を行う必要があります。その他、トラネキサム酸とビタミンCの内服治療も有効です。
直径2mm程度の黄褐色の斑点が鼻根部から頬部を中心に散在するシミで、若年時から認められます。スペクトラレーザーによるスポットごとの治療のほか、顔全体での照射が可能なフォトフェイシャルが有効です。
紫外線への曝露と関連して、40歳以降の男女に多く、加齢とともに増える傾向があります。頬部の外側や前面を中心に、直径5~20mm程度の類円形、境界がくっきりとした色素斑として現れます。スペクトラレーザー(Qスイッチヤグレーザー)による治療が有効です。軽度の痛みがありますが、麻酔は不要で、1回の治療でほとんど消すことができます。
老人性色素斑と類似して境界は明瞭、やや小型で色調が濃く、台形状に膨隆しています。頬部外側から側頭部に多く、加齢とともに増加します。特に高齢男性では互いに癒合して大きな病変となることもあります。老人性色素斑が脂漏性角化症へ移行すると考える説もあります。スペクトラレーザーによる治療が可能ですが、盛り上がりのある病変の場合にはCO2レーザーの方が高い治療効果が期待できます。
主に真皮層にメラニンが沈着することで発生し、20歳以降、多くは30歳以降の女性に好発します。頬骨外側に直径3mm程度の褐色から灰色の斑状の色素斑が多発するのが典型的ですが、側頭部や鼻根部にも発生します。重症化すると互いに癒合しますが、下眼瞼の軟らかい部にも認められる点で肝斑と区別できることが多いです。スペクトラレーザー(Qスイッチヤグレーザー)による治療が可能ですが、他のシミと比較して深い層に存在するため治療効果が得られにくく、また6か月以上の治療期間が必要となります。
1
診察
医師による診察を行います。
既往歴や家族歴の確認、シミが生じた時期や経緯について問診を行います。
シミや肝斑の状態を診察し、どのような治療が適しているかについて説明・相談して治療計画を立てます。
2
カウンセリング
レーザーの照射範囲や治療回数について相談し、治療費用について説明します。
その他、お悩みやご相談があればお答えします。
予約の際にあらかじめ当日の治療時間を確保している場合には当日の治療が可能ですが、治療時間が確保できない場合や、他の治療方法が適当と判断された場合には、後日の治療予約を取得していただく場合があります。
3
写真撮影
病変部位の状態を記録するための写真撮影を行います。
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スペクトラレーザーによる治療
実際にレーザー照射を行い治療します。所要時間は10分程度です。
ドレッシング材(肌色、扁平で目立ちません)を貼付します。
5
自宅での注意点についてのご説明
洗顔やお化粧は当日より可能です。
ドレッシング材の交換を定期的に行ってください。
レーザー治療後1週間程度で痂皮(かさぶた)となってシミが脱落します。(後天性真皮メラノサイトーシスや真皮の母斑は脱落しません。)
6
経過観察
1~2週間後に経過観察のためにご来院ください。
予約期日の前であっても、ご不明な点や心配なことがありましたらご連絡ください。
シミ治療後1~2か月は色素沈着が起こりやすいので、日焼けや刺激を避けてください。
タトゥーのレーザーによる治療効果は、タトゥーの色素の種類や深さによって異なります。
アートメイクや自己彫りタトゥーの場合には色素が浅い部位に入っていることが多く、除去までに必要な治療回数が少ないことが多いです。一方、特殊な色素を使っている場合や、面積が広いタトゥーの場合には、治療期間が年単位(3~4年)の長期に及ぶこともあります。
また、深部に色素が入っている場合には青くにじんだような外観となりますが、レーザーでは除去が困難な場合があります。
面積がさほど広くない場合や、深部でレーザー治療が困難な場合には、局所麻酔での手術による除去をお勧めすることがあります。