ダーマペン
ダーマペン
皮膚に損傷が加わると、止血期→炎症期→増殖期→組織再構築期という一連の創傷治癒反応が進む仕組みが我々の身体には備わっています。細い針による損傷が加わった場合には、ごく軽度の炎症後に1~2か月の期間を通じて主に線維芽細胞がコラーゲンを主体とする細胞外マトリックス成分を産生し、皮膚の弾性が増し、また表皮についても細胞の入れ替わりが促進され、余分な角質が脱落し、もともとあった凹凸がなだらかになると考えられます。
そのような身体の自然治癒力を利用して皮膚の質感改善を図る治療は「マイクロニードリング法」と呼ばれ、ダーマペンはその代表的な治療法です。
当院が使用するダーマペン 4は米国FDAの承認を得ている安全性の高い機器です。33Gという細径の針16本が機器の先端から出たり入ったりする仕組みで、毎秒120回転、つまり毎秒1,920か所に微細な穴を開ける計算となります。深さは微調整が可能で、最大3mmの深さまで治療が可能です。
創傷治癒の基礎研究から推察すると、治療後2か月頃までにコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリックスが産生されると考えられます。これによって皮膚の弾性を担保する真皮組織が増生し、張りのある皮膚が形成されて小じわが改善する効果が期待できます。また、表皮のターンオーバーが促進されることにより余分な角質の蓄積が解消され、毛穴の開きが改善します。角質が毛孔を閉鎖する(角栓と呼びます)ことにより生じるざ瘡(ニキビ)もできにくくなります。
また、ざ瘡後瘢痕(ニキビ跡)に対する効果も実証されています。2.5mm程度の深めの刺入を行うとより効果的であり、4~6回の治療で徐々に目立たなくなることが報告されています(El-Domyati, et al. International Journal of Dermatology 2024など)。
ダーマペンをはじめとするマイクロニードリング治療は、皮膚の美容成分を浸透させる種々の治療と組み合わせると効果が高まることが知られています。ヒアルロン酸、A型ボツリヌス毒素、多血小板血漿(PRP;platelet-rich plasma)などと組み合わせた治療が行われます。ニキビ跡に対してはピーリング剤と併用することで高い治療効果が得られたとする報告があります(Li, et al. Arch Dermatol Res 316:505, 2024)。後述するヴェルヴェットスキンは、そのような相乗効果を目的にダーマペンとマッサージピールを組み合わせた治療です。
ダーマペンにより以下のような状態の改善が期待できます。
ダーマペンの治療効果をさらに高めるためにマッサージピールで使用されるPRX-T33を浸透させる治療を組み合わせたものです。マイクロニードリングとピーリング(角質の除去)を併用することで、滑らかな艶のある肌質へ変化させるための治療です。
ダーマペン、マッサージピールそれぞれ単独で行う場合の2~3倍の効果が得られると言われています。
1
診察
既往歴・現病歴の問診、診察により、肌の状態を判断します。
治療の流れ、治療効果の見込み、治療後の注意点等について説明します。
2
カウンセリング
医師の診察の後、治療の実際の流れや治療費用について説明します。
その他、お悩みやご相談があればお答えします。
予約の際にあらかじめ当日の治療時間を確保している場合には当日の治療が可能ですが、治療時間が確保できない場合や、他の治療方法が適当と判断された場合には、後日の治療予約を取得していただく場合があります。
3
写真撮影
病変部位の状態を記録するための写真撮影を行います。
4
塗布麻酔
治療部位に麻酔クリームを塗布して静置します。 (麻酔所要時間:20~30分)
5
治療
治療部位に薬剤を塗布し、ダーマペン4を用いて皮膚にマイクロニードリングを行います。顔全体治療の場合、所要時間は約30分間です。
※ヴェルヴェットスキンの場合:
マッサージをしながらコラーゲンピールの薬剤(PRX-T33)を塗布していきます。
治療中はチリチリとした刺激を感じることがありますが、痛みが気になる場合はスタッフまでお申し付けください。
洗顔は直後から可能ですが、化粧は翌日まで、可能であれば24時間後まで控えてください。
シャワーは当日より可能です。2~3日間は長時間の入浴・サウナ・過度の飲酒・激しい運動はお控えください。処置後の肌はバリア機能が通常よりも低下し敏感な状態となります。紫外線による刺激を防ぐため、患部を直接日光に当てないよう注意し、外出時は必ず日焼け止めを塗布してください。
治療当日はヒリヒリ感や掻痒(かゆみ)が出る場合がありますが、まもなく落ち着きます。皮膚の赤みが半日程度持続することが多いですが、それより長引く場合にはご連絡ください。
ヴェルヴェットスキン(ダーマペン+マッサージピール)後の注意点は、ダーマペンと同様ですが、加えて以下のような状態が認められます。
以下に該当する方は治療を控える必要があるので事前に申告してください。
以下に当たる方は治療をお控えください。