フラクショナルレーザー
フラクショナルレーザー
我々の身体には、損傷を受けるとそれを修復する機構が備わっています。
皮膚の最も表層にある表皮やその下層の真皮浅層までの深さの損傷が加わった場合には、それが治った後の瘢痕(きずあと)はほとんど残りませんが、傷を治す反応(創傷治癒)が進むことにより、コラーゲンを主体とする細胞外マトリックスが産生され、皮膚の弾力が増したり、凹凸が改善したりといった変化が起こります。
沢山のドット状のレーザー光による損傷によってこのような変化を起こす方法がフラクショナルレーザーです。(一方、複数の針による損傷によって同様の効果を期待する方法がダーマペンや水光注射などの「マイクロニードリング法」であると言えます。)
当院で採用しているResurFX(リサーフィックス)M22は、波長1565nmのEr:YAGファイバーレーザーを使用し、水分吸収性が比較的低いため、非蒸散型(ノンアブレイティブ)のフラクショナルレーザーに分類されます。
以前主流であった蒸散型(アブレイティブ)のフラクショナルレーザーの場合には、治療効果が高い一方で、皮膚表面が蒸散されて痂皮(かさぶた)ができるためダウンタイムが長いこと、その後の修復過程において色素沈着等が起こる可能性があることから、なかなか気軽に行うことができない側面がありました。非蒸散型(ノンアブレイティブ)の場合には皮膚表面は損傷を受けず、痂皮(かさぶた)が形成されないため短いダウンタイムで済むという特徴があります。
照射後1~2か月の期間に真皮層のリモデリングが起こり、皮膚の凹凸改善、引き締め効果が進みます。
※回数を重ねると上記の症状は出にくくなる傾向があります。
※副作用の程度には個人差があります。
フラクショナルレーザーの治療適用のひとつに「にきび痕」があります。
炎症のある新規のざ瘡(にきび)ができている間は、ケミカルピーリングやハイドラフェイシャル、美肌再生治療などで角質コントロールを行い、新たなざ瘡ができないようにするための治療を行うことをお勧めします。
にきび治療が落ち着いた段階で、残ったにきび痕に対する治療を行います。
にきび痕の治療には、フラクショナルレーザーのほかに、ダーマペンやヴェルヴェットスキン、水光注射などのマイクロニードリング法が挙げられます。では、どのような人にどのような治療が適しているのでしょうか?
にきび痕の形状や数には個人差がありますが、大きく「アイスピック状」、「クレーター状」に分けられます。どちらも窪んだ皮膚の傷あとですが、特にアイスピック状は面積が狭く深さが深い瘢痕、クレーター状は面積が大きく深さが浅い瘢痕を指します。
フラクショナルレーザーの到達深度は500~800μm、一方、ダーマペンは一般的に1~1.5mm程度の深さを標的にします。また、ダーマペンの針による機械的な組織損傷に比べて、フラクショナルレーザーによる熱凝固刺激は、ある程度の容積をもって広範囲にわたります。
したがって、フラクショナルレーザーは面積が大きく浅い瘢痕(つまりクレーター状のにきび痕)、ダーマペンは面積が小さく深い瘢痕(つまりアイスピック状のにきび痕)に対してより高い効果を発揮すると考えられます。
このように、皮膚の状態によって治療法を使い分けることで高い治療効果が得られるため、治療経過中にもその都度状態をみながら、よく相談して治療方針を調整していきましょう。
診察
既往歴・現病歴の問診、診察により、肌の状態を判断します。
治療の流れ、治療効果の見込み、治療後の注意点等について説明します。
カウンセリング
医師の診察の後、治療の実際の流れや治療費用について説明します。
その他、お悩みやご相談があればお答えします。
予約の際にあらかじめ当日の治療時間を確保している場合には当日の治療が可能ですが、治療時間が確保できない場合や、他の治療方法が適当と判断された場合には、後日の治療予約を取得していただく場合があります。
写真撮影
病変部位の状態を記録するための写真撮影を行います。
塗布麻酔
治療部位に麻酔クリームを塗布して静置します。 (麻酔所要時間:20~30分)
治療
塗布麻酔を拭き取り、レーザー照射を行います。
所要時間は約10分間です。
治療後の注意点
赤み、ほてりが1~2日続くことがあります。
紫外線対策を行うようにしてください。
1回の治療でも変化はありますが、複数回の治療で徐々に効果が得られるようになります。
個々の治療間隔は1か月程度をお勧めしています。
お困りのことがあれば、何でもお気軽にご相談ください。