脂肪溶解注射
脂肪溶解注射
脂肪溶解注射(メソセラピー)は、脂肪を溶解する作用のある薬液を脂肪組織内へ直接注入することによって脂肪細胞を分解して吸収させ、脂肪の量を減らす治療方法です。
脂肪組織の全体量を減らすためには、食事療法や運動療法によって摂取カロリーよりも消費カロリーを多くすることが最も有効です。しかし、全体的な体重と脂肪量が減少しても、顎下部(二重あご)、上腕部(二の腕)、下腹部(段々腹)、臀部~大腿部(セルライト)など身体の部分的な脂肪が減らずに悩みの種として残ることがよくあります。
脂肪溶解注射は、そのような「気になる部分的な脂肪量の減少」を希望する場合に最適な治療法ということができます。
脂肪組織の量を物理的に減らす治療法としては、他に脂肪吸引が代表的ですが、術後の圧迫が必要であり、また腫れや皮下出血斑などが生じるためダウンタイムが必要です。それに比べると、脂肪溶解注射は効果としてはマイルドですが、治療後のダウンタイムがほとんどないという点で受けやすい治療です。
脂肪溶解作用を発揮する注射の主成分は、デオキシコール酸です。
デオキシコール酸は、二次胆汁酸の一種であり、肝臓で産生されて胆汁の分泌を促進する作用を持っています。胆汁は肝臓の近くにある胆のうで貯蔵・濃縮され、食物摂取に伴い十二指腸に分泌されて脂肪の分解・吸収を助けるはたらきがあります。
2010年代より、欧米を中心にデオキシコール酸(ATX-101)が顎下部脂肪(SMF;submental fat)を減少させる効果があるかどうかについての臨床研究が盛んに行われるようになり、その有効性と安全性が認識されるようになりました(McDiarmid, et al. Aesthetic Plast Surg 2014、Humphrey, et al. J Am Acad Dermatol 2016など)。デオキシコール酸は顎下部脂肪を統計的に有意に減少させること、また局所の腫れや疼痛などの副作用があるものの軽度で一時的なものであることが示されました。
当院ではデオキシコール酸を0.5%含む、カベリン(Kabelline)を採用しております。カベリンには、他に脂肪の代謝を促進する「L-カルニチン酸」、浮腫改善に有効とされる「アーティチョークエキス」が含まれています。
デオキシコール酸を高濃度(1%)に含む薬剤も市販されていますが、注射後の疼痛や腫れが強かったり、減少させる脂肪の範囲のコントロールが難しかったりする難点があります。
カベリンを用いた脂肪溶解注射により、ダウンタイムが短く安全で、かつ有効な脂肪量の減少が可能だと考えます。
もともとの骨格や脂肪の付き方に個人差があるため、ダイエットによる体重減少でも変化が出にくい部位です。フェイスラインや頬部の脂肪減少に有効です。
皮膚と広頸筋の間の脂肪が増えることによって「二重あご」の原因となります。最もお悩みの多い部位のひとつです。
脂肪によるたるみが出やすく、特に夏場の露出が気になる部位です。ただし、もともとの脂肪量が多いと、特に肩に近い部では脂肪溶解注射のみでは効果が出にくい場合があります。
体表の脂肪が最も蓄積しやすい部位のひとつです。特に年齢とともに臍より下の下腹部に脂肪が蓄積しやすくなります。全体的な脂肪の減少には体重減少や腹直筋のトレーニングが有効ですが、最も尾側の脂肪が下垂してリガメント(靱帯)の結合部で段差になって残る、など部分的な脂肪量の減少を改善するためには脂肪溶解注射も有効です。
お尻から太ももにかけての部位も脂肪が蓄積しやすい部位です。全体的な脂肪量の減少は注射のみでは限定的ですが、表面の凹凸(セルライト)の改善には注射が有効な場合があります。
発赤、疼痛、腫脹等は通常2~3日で改善しますが、1週間程度続くことがあります。
治療後にお困りの症状がある場合には気軽にご相談ください。
治療間隔は2~4週間あけて、合計3~6回程度行うことにより効果が実感されます。
効果の出かたには個人差がありますので、その都度医師の診察を行い、相談しながら治療の回数や間隔を調整します。
下記に該当する方は治療を受けることができませんので、ご注意ください。
診察
医師による診察を行います。脂肪溶解注射が適切かどうかについて判断し、治療回数や可能性のある合併症等について説明します。
カウンセリング
実際の治療の流れや治療費用などについてくわしく説明いたします。
その他、お悩みや心配なことがある場合にはご相談ください。
予約の際にあらかじめ当日の治療時間を確保している場合には当日の治療が可能ですが、治療時間が確保できない場合や、他の治療方法が適当と判断された場合には、後日の治療予約を取得していただく場合があります。
写真撮影
病変部位の状態を記録するための写真撮影を行います。
脂肪溶解注射
治療部位へカベリンを注射します。
アフターケア
患部を清拭します。
ガーゼ等は必要ありませんが、注射部位に絆創膏を貼ることがあります。
当日からシャワー洗浄は可能ですが、熱い浴槽やサウナ、激しい運動は2~3日控えるようにしてください。
発赤が2~3日程度続くことがあります。
発赤がなかなか改善しない、腫脹が強いなど、心配な事項があれば何でもお気軽にご連絡ください。