AGA・薄毛治療
AGA・薄毛治療
豊かな頭髪、艶やかな毛並みは若さと健康の象徴です。身体の全ての毛には「毛周期」というものがあり、毛髪の成長と退縮を繰り返しています(成長期→退行期→休止期)。毛包膨大部に存在する毛包幹細胞が毛母細胞となって分裂・増殖し、さらに毛髪へと分化して毛の成長を促します。幹細胞が豊富で健全な若いうちは、活発な細胞分裂と正常な分化を経ることによって一定の太さと整ったキューティクルを持つ毛髪が成長しますが、加齢に伴って幹細胞が枯渇したり正常な分化が起こらなかったり、組織の栄養が不足したりすると、毛包の成長期が短縮して太い毛髪が生えなくなり、果ては毛包の「ミニチュア化(矮小化)」が起こり産毛しか生えない状態となってしまいます。
AGA(androgenic alopecia、男性型脱毛症)は、男性ホルモンの作用により前頭部や頭頂部の毛髪が軟毛化した状態です。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは5α-還元酵素(リダクターゼ)という酵素の作用で、より活性の高いDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換され、それが毛乳頭細胞の受容体に作用して軟毛化を引き起こすと言われます。生え際や頭頂部の毛包には男性ホルモン感受性があり、後頭部の毛包には感受性がないなど、部位によって毛包の性質が異なることから特徴的な脱毛の分布を呈すると考えられています。
AGAの発症には遺伝的素因が強く関連していることがよく知られています。早い人では20代のうちから前頭部・頭頂部の軟毛化が始まるので、家族歴がある場合には症状が軽い段階から治療を開始することをお勧めします。
活性の高いDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を阻害することによってAGAの進行を抑制し、毛量を増やす治療が可能となっています。
テストステロンからDHTへの変換を媒介する5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型という2つのタイプが存在しますが、そのうちⅡ型5α-還元酵素のみを阻害するフィナステリド(プロペシア)の内服治療が1997年に米国FDA承認、2005年には厚労省に認可され、現在ひろく使用されています。Ⅰ型とⅡ型の双方を阻害するデュタステリド(ザガーロ)による治療も2009年に韓国で、2015年に日本で承認されました。
フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)いずれも毛髪数・毛髪径を有意に増加させる作用があることが質の高い研究で証明されています(Harcha, et al. J Am Acad Dermatol 2014など)。内服開始後3か月程度で効果が実感できるようになると言われています。
副作用として鼻咽頭炎(約10%に出現)、性欲減退(約5%に出現)、頭痛(約5%に出現)などがあることが報告されています。
ミノキシジルの外用薬は、より以前の1988年に米国FDAの承認を得ています。当初は血圧下降薬として使用されたミノキシジルの副作用として多毛が認められることが分かり、脱毛症治療へ応用されるようになりました。ミノキシジルが発毛効果を発揮する詳細なメカニズムについてはまだ不明な点もありますが、sulfonylurea receptor(SUR)に作用することによって、①血管平滑筋の弛緩に伴う毛包組織血流改善、②毛乳頭細胞からのVEGFなど成長因子の産生促進、③毛母細胞アポトーシスの抑制などの効果を及ぼし、成長期を延長してミニチュア化した毛包を改善するものと推察されています。
日本では1999年からミノキシジル成分1%配合製品の発売が開始され、2009年からはミノキシジル5%配合の製品が発売されています。ミノキシジルの内服薬も開発されていますが、本法において質の高い臨床試験は行われておらず未承認です。
AGAは遺伝的素因との関連が強く、お父様などご家族にAGAがある場合には遺伝的にご本人にもAGAが出現する可能性が高いです。そのようなリスクの高い方については、早めに治療を開始することによってAGAの進行が抑制され、太く良質な毛包を長期にわたり維持することが可能になることがあります。
規則正しい生活で疲労を溜めないこと、適度な運動で代謝を促すこと、頭皮を清潔に保つことなどの生活習慣も脱毛症治療には非常に大切です。
1
診察
医師による診察を行います。
既往歴・家族歴・併存疾患の確認等を行い、毛髪の状態を観察します。
今後の治療方法について相談し、説明を行います。
2
カウンセリング
薄毛やAGA状態のチェックや発毛・育毛治療に際しての注意事項・費用のご説明をします。
その際に患者様のお悩みや相談にもお答えします。
3
血液検査
全身的に大きな異常がないかどうかを血液検査で確認します。
治療開始後にも服薬に伴う肝機能障害が出ていないかなどを約半年に1回の頻度で検査して確認します。
4
血液検査の結果報告
血液検査から約1週間後に検査結果をお伝えします。
発毛・育毛プログラムの治療薬について再度ご説明します。
5
治療結果を見るための頭部写真撮影
ご自身で毎日鏡を見ていると変化に気付きにくい場合があります。
そのために治療前~治療経過の写真を撮影し発毛・育毛効果を見ます。(希望者のみ)
6
治療薬の処方
1か月分の治療薬を処方します。
以後、定期的に医師の診察を受けて発毛状況や体調変化の有無について確認させていただきます。